FN1242A タンデム基板作製奮闘記 17
Tandem基板の出力インターフェース(2)

FN1242A Tandem基板のAF出力は”電圧”として出力されます。
従ってこれに続くインターフェイスも”電圧”の扱いをしなければなりません。
これに対して電流出力DACはAF出力は”電流”ですので後段のインターフェースは違ってきます。

DACからの出力をトランスで受けます。このトランスで差動合成、LPF、インピーダンス変換の動作をおこないますが、この時のトランス入力インピーダンスは10KΩ以上とします。この理由は、DAC の出力インピーダンスより高抵抗で受けた方がDAC の動作に悪影響を与えないためです(DACにとって出力の電流的負荷が軽いほうが、より理想的な動作が期待できます)。パワー・ロスを最小にするための伝送では、パワー・マッチ(インピーダンス・マッチングと呼ばれているように、各ユニットの入出力インピーダンスを50Ω、75Ω、300Ωなどに統一にして、伝送路反射を最小にする)の方法が、また、通信路回線ではNF マッチ(受信総合雑音指数(NF)を最小にする)などの方法がとられますが、オーディオ領域では、音質の鮮度、良好なS/N比の確保等のため、数あるユニットを縦続に接続するときは、低インピーダンス出力、高インピーダンス受けが一般的です。この方法は出力端のインピーダンスが低くなるので、次段に接続される機器の入力インピーダンスに本体が影響を受けにくいこと、信号引き回しラインが多少長くなっても外来ノイズなどの環境に対しても有利なことなどの理由です。そして、Audio機器内配線では聴感上もっとも好ましいマッチング・インピーダンスを選択します。
ここで使用するTrans は前に挙げた各種Trans が使用できますが、ファインメットのLine Trans. TLT0615はこの用途にピッタシです。1次DAC受けインピーダンスを15KΩとして使用すると、都合よいことに2次側出力インピーダンスは 600Ωになりますので、直接XLRなどのBalance端子に出力できます。 トランスからRCA、 XLR に直接出力する場合を下図に示します。
(参考までに、DAC からの出力アイソレーション抵抗は、FN1242Aデータ・シートでは10KΩ、半導体計測屋さんのBlogでは1KΩが、また、お気楽さんFujiwaraさんのDACでは7.5KΩの抵抗が散見されます。この抵抗は信号経路に直列に入るため、抵抗値は小さいほうが望ましいです。あまり大きくすると、S/Nの低下、外部からの誘導などを受け易くなります。)

TLT0615を使用したとき、このようなTrans.接続(ステップダウン)では、出力される電圧は理論上20%程度まで落ちますが、この後に続くBuffer AMPとの兼ね合いでこの損失以上の信号エネルギーが得られます。これについての詳細はAsoyajiさんの以下のBlogを参照してください。
      http://asoyaji.blogspot.jp/

以下に主な2つの参考インターフェース回路を提案いたします。なお、この二つの回路はL.P.F を付加すると、Trans. を介さず直接DAC出力に接続できます。しかし、Tandemの素晴らしさを十分に発揮するためには、Line Trans. を介した回路にすることをお勧めします。

画像2


1.MI-Take 半導体LME49600 Line AMP

BURR-BROWN社のAUDIO DIFFERENTIAL LINE RECEIVERS INA137と、National Semiconductor社のHigh Current Audio Buffer LME49600を使った非常にシンプルなラインアンプです。Balance入力で、Balance-Unbalance変換、インピーダンス変換、Signal Buffer をおこなう、大変うまく設計されたアンプです.。しかし、システムとしてこのユニットのために+-の電源を必要とするのが少し厄介です。
次に紹介する真空管Bufferと比べると入力インピーダンスが少し低いことが心配ですが、今回の使用例ではXLR Balance出力とRCA Unbalance出力の同時使用しない場合はこれで十分です。同時に使用する場合は、安全をみてこのアンプユニットの前にインピーダンス・バッファーを1段おくとよいでしょう。
何分にもトランス2次側のインピーダンスが低いためにインターフェースが簡単にできます。
なお、このアンプの電圧利得は1でVoltage Gainはありません。
LME49600 Line AMP-50





2.Broskie Cathode Follower 真空管アンプ

はじめにLineTrans.(TLT-0615) を使わず、直接FN1242A DACからの信号を、Balance-Unbalance 変換、Low Pass Filter、 インピーダンス変換を真空管1段で行うPush-Pull回路です。Broskie Cathode Follower と呼ばれる真空管アンプす。
高入力インピーダンスを保ったまま低ひずみで平衡ー不平衡の変換をします。.そしてなによりも高ダイナミックレンジ、高CMRRです。しかも出力インピーダンスは低い。
このように優れた特性をもっ ていますが、上記の半導体回路同様、専用の高圧電源を必要とするので製作は厄介です。しかし、今回のタンデムの出力インターフェースに使用した時それなりの高音質が得られます。
このBroskie Cathode Follower 真空管アンプについては海外のサイトでよく見かけます。



Broskie Cathode Follower-50





次に挙げるのは、Line Trans. と組み合わせた例です。
FN1242A DAC からの信号を受け、LineTrans.で は Low Pass Filter、差動合成、 インピーダンス変換を行い、次段のBroskie Cathode Follower では Low Distotion で Balance-Unbalance の変換を行い、低インピーダンスで出力します。上と比べると、トランスのコストはかかりますが、音質は素晴らしいものです。
Broskie cathode follower-50
(注1)XLRコネクタのピン番号は接続機器によって変更する。
(注2) 真空管は 6SN7GTB、12BH7A、 6N6P などの双3極管が使用可能(カソード電流が8~10mAくらいになるように使用球によってカソード抵抗を変更する)。
(注3)Line Trans. (TLT-0615)の2次側に付加する抵抗は、接続される負荷インピーダンスによって最適値があるので調整する。



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FN1242A タンデム基板作製奮闘記 16
Tandem基板の出力インターフェース(1)


前回まででRas. PI を介して素晴らしい再生音が得られることを確認しました。
今回からは、今まで作業してきた物を、D/Aコンバーター・システムとして纏めることを考えてみます。

これまではTandem 出力の外部出力へのインターフェースについて触れませんでしたが、今回からはこれについて考えてみます。

Tandem基板FN1242AのAFは電圧出力です。これをそのままPower AMPに入力すれば音出しはできるのですが、サンプリング・ノイズなども一緒に出力されますので、これらを除去してからAF OUT として出力するのが一般的です。
また、DACからの出力インピーダンスは割合高いので、このままD/Aコンバーター出力として次段AMPなどへの直接出力として使用するには理想的ではありません。また、差動合成の問題もあります。

ではどのようにするか?。

① FN1242A Tandem 出力にOP AMPを使った Active LPF を入れると共に、差動合成をし、インピーダンス変換、Buffer AMPを挿入する。
この方法が一般的にOP-AMPを使用したインターフェースとして考えられますが、このFN1242A Tandem の作製レポートではこの方法はあまり見かけません。
理由は、次に挙げるI/V Trans を使った差動合成の方法が、このインターフェースに纏わる色々な問題点(差動合成、LPF, インピーダンスの整合など)を簡単に解決でき、音質的にも大変満足できるからと思われます。
この領域はまだ改良の余地が十分あり、回路もいろいろ考えられますので、これから革新的な素晴らしい回路も発表され,それが一般的になるかもしれません。
(OP-AMPを使った回路ではいまの処 I/V Trans と対等に音質評価できる決定的な回路は思い浮かびませんので、残念ながら紹介できません。)


② I/V Trans を使う。
FN1242AのTandem 基板出力にI/V Transを使用すると、差動合成、LPF、インピーダンス変換などの問題を簡単に解決できて、大変便利です。
ルンダール、ファインメット、タムラなどの有名どころを今まで実験に使ってきました。

ルンダールは以前から藤原さんのFN1242A DACと共に愛用していますが、まあまあの満足感です。エレアトさんのP2D基板と共にFN1242Aチップの評価基準としてきました。

タムラのトランスは種類が大変多く、このトランスも昔から実験回路には大変お世話になってきました。一部はI/V Trans としても満足できる製品です。種類が多く全てを使った訳ではありませんが、欠点もなく、使い易く一般的な仕様用途には十分過ぎる音質がえられます。何分にもBTS規格で作られている製品ですので、信頼性が高いという安心感があります。

お勧めはファインメットです。最近人気があるトランスで、幾つかの種類があります。大変高価なものですがそれなりにこれまでとは次元の異なる満足感がえられるトランスです。今回のTandem の評価ではTLT0615を用いたものを基準としました。

次回は I/V Trans を使用した Tandem 出力インターフェースの実例を紹介します。

ルンダール-50
UDA2,P2D,1242A-5 各基板とルンダールLL1538XL 


TAMURA-50.jpg
タムラのI/Vに使えそうなトランス各種

ファインメット-50ファインメット・トランス








FN1242A タンデム基板作製奮闘記 15
Jitter Cleaner の導入(2)

先回の続きです。
1.各種 Jitter Cleaner 基板

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  ① ヤナさん FN1242A P2D リクロック基板
  ② ヤナさん I2Sリクロック基板
  ③ お気楽さん Jitter Cleaner 基板
  ④ 半導体計測屋さん配布 Tandem Jitter Cleaner 基板

このうち、お気楽さん Jitter Cleaner 基板は大変使い易いが、基板サイズが大きいので、Tandem、Raspberry基板との同時実装がむずかしい。なおこの基板でCleaningされる信号はBCLK or MCLKのどちらかであるので、この両信号をCleaningするには、同じくお気楽さんの Dual Jitter Cleaner を使用することができる。
次に、半導体計測屋さん Tandem Jitter Cleaner 基板はTandem 基板に積層するには都合がよいが、ジャンパーを飛ばして自由に配置するのには難がある。
ヤナさんの2種の基板はサイズが小さく、使い勝手がよかったので、今回このうちのI2Sリクロック基板を使用することにした。この基板はBCLKからMCLKを生成し、MCLKをJitter Cleaningすると共に、BCLK, LRCK, DATA信号をリクロックする。
FN1242A P2D リクロック基板も今回の目的に同様に使うことが可能であるが、FN1242Aの P2D動作などの機能が盛り込まれている。

2. ヤナさん I2Sリクロック基板の組み込み 
一枚のエポキシボード上に各基板を配置して、I2Sリクロック基板を組み込みます。
予めI2Sリクロック基板 取り付けアダプタ(Al板の厚みは1mmに訂正)、接続コネクタジャンパー配線などは組立を終了しておく。

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タンデムベース基板へのジェッタークリーナーの組み込み。


画像3-20
I2Sリクロック基板を取り付けるAl板アダプタの取り付け。



画像4-20
アダプタ板上にI2Sリクロック基板を取り付ける。
これで全て組立が上手くいくか確認する。



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一度今までのものを分解して、再度コネクタ配線ジャンパーを取り付けながら、慎重に組み立てる。


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FN1242A タンデム基板作製奮闘記 14 
Jitter Cleaner の導入(1)

これまでのRaspberry PI - Tandemはすばらしい音を聴かせてくれます。これで十分と思っていましたが ・・・ 。

ある時、Raspberry PI - Tandem で音楽を聴きながら、Raspberry PI のI2S 端子と、Tandem 基板JCCN1間のMCLK信号にJitter Cleanerを, 他の信号にはリクロック回路を挿入してみたら ?????????? との思いつきで、先ずはMCLK回路にあり合わせのJitter Cleaner を挿入したところ、これが大当たり。またまた今までとは違い"超ぶっ飛びサウンド"です。これはシステムに導入しないわけにはいきません。
I2S-50.jpg

 (ここからは今まで以上のシステムのランクアップを考えてみました。なおこれまで又はこれからの説明では、全てRaspberry PI B+で192KHz, 24bit or 32bitにUP-Sampling した結果です。またVolumioは1.51で、半導体計測屋さんのものです。)

Jitter Cleanerを挿入するには、Ras.PIのI2S信号のBCLKだけをそのままJjitter Cleanerして出力する方法と、これを4逓倍して発生したMCLKをJitter Cleanerに通すやりかたがあります。しかし、Jitter CleanされたMCLK信号を使って他のLRCK, DATA, そして、もとのBCLKをリクロックするには後者の方法が便利です。
今回はヤナさんの「I2Sリクロック基板」を使ってシステムを組んでみます。

図にある回路 をRaspberry PI (I2S)- Tandem (JCCN1)の間に挿入します。
この基板の回路の概略は次のようになっています。
Raspberry PI のI2S端子から出力されるBCLK信号を2分岐し、一方を4逓倍して Jitter Cleaner に入れ、この出力をMCLK信号としてTandem JCCN1に送ります。もう一方のBCLK信号は、Raspberry PI のI2S端子から出力される他の LRCK, DATA 信号とともに先にJitter Clean されたMCLKクロックによってリクロックされてからTandem JCCN1に送られます。
こんな巧な手法でBCLK、LRCK, DATA をリクロックするやり方は、FN1242A Tandem基板のジェタークリーニングの方法と同じです。

Raspberry PI B+ のGPIO(I2S端子)と、Tandem JCCN1 の具体的な結線方法を下図に示します。



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FN1242A タンデム基板作製奮闘記 13 
プレゼンテーション50
Jitter Cleaner のハンダ付け不良

これまでの製作過程で一つ一つ注意深く製作すれば、タンデム基板とRaspberry PI の基板の結合ができ、音出しができます。大変澄み切った素晴らしい再生音です。これが半導体計測屋さんの云われる”超ぶっ飛びサウンド”です。

まだ電源の接続についての詳細な説明ができませんでしたが、一般的に3.3Vと 5V 系の電源が必要です。
この電源の作成についてはまた機会をみてUPします。

次に、Jitter Cleaner IC Si5317のハンダ付けについて。
今まで何度かこのICを扱ってきましたが、Tandem基板のBCLKをJitter Cleanするための基板で不具合が発生しました。
端子のハンダ付けの不良です。
このICはハンダ付けリードが外に出ていないので、毎回苦労します。この様子の画像をUPしておきますので、参考にしてください。